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長野地方裁判所 昭和62年(わ)121号 判決

本店所在地

長野県茅野市北山三四一三番地

有限会社エーデル山荘

右代表者代表取締役 小野和雄

本籍

同県諏訪郡下諏訪町五六九五番地

住居

同県茅野市北山三四一四番地

会社役員

小野和雄

昭和一〇年一〇月二七日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官津田賛平出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人有限会社エーデル山荘を罰金八〇〇万円に、被告人小野和雄を懲役八月にそれぞれ処する。

被告人小野和雄に対し、この裁判確定の日から三年間、その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社エーデル山荘は、長野県茅野市北山三四一三番地に本店を置き、飲食店経営、土産品販売、スキー用具貸出等を目的とする資本金二〇〇万円の法人であり、被告人小野和雄は、被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人小野は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外する方法により所得を秘匿した上

第一  昭和五七年一一月一日から昭和五八年一〇月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が四八九八万八九四一円であったにもかかわらず、昭和五八年一二月二八日、同県諏訪市清水二丁目五番二二号所在の所轄諏訪税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二一一一万九一二一円であり、これに対する法人税額が七五二万六七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額一九一九万七二〇〇円と右申告税額との差額一一六七万五〇〇円を免れ

第二  昭和五八年一一月一日から昭和五九年一〇月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が二四九四万五〇九八円であったにもかかわらず、昭和五九年一二月二八日、前期諏訪税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二一五万一九〇三円であり、これに対する法人税額が五七万四九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額九七二万五三〇〇円と右申告税額との差額九一五万四〇〇円を免れ

第三  昭和五九年一一月一日から昭和六〇年一〇月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が三五六〇万二六八七円であったにもかかわらず、昭和六〇年一二月二七日、前記諏訪税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一七〇二万七一三二円であり、これに対する法人税額が五八〇万三〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額一三七八万七一〇〇円と右申告税額との差額七九八万四一〇〇円を免れた

ものである。

(証拠の標目)

一  被告人兼被告人会社代表者(以下単に被告人という)の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  被告人の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  被告人作成の上申書及び各答申書

一  朝倉清夫の検察官に対する供述調書

一  朝倉清夫の大蔵事務官に対する質問てん末書

一  諏訪税務署長作成の各証明書

一  大蔵事務官作成の各差押てん末書

一  大蔵事務官作成の各領置てん末書

一  大蔵事務官作成の簿外売上高調査書

一  大蔵事務官作成の簿外交際接待費調査書

一  大蔵事務官作成の交際費の損金不算入額調査書

一  大蔵事務官作成の価格変動準備金調査書

一  大蔵事務官作成の特別償却費調査書

一  大蔵事務官作成の欠損金又は災害損失金の当期控除額調査書

一  大蔵事務官作成の事業税認定損調査書

一  大蔵事務官作成の各法人税査察更正決議書

一  登記官作成の登記簿謄本

(法令の適用)

判示各所為は被告人につき法人税法一五九条一項、被告人会社につき同法一六四条一項、一五九条一項に各該当するところ、被告人につき所定刑中各懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから被告人会社については同法四八条二項により各罪所定の罰金を合算し、被告人については、同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をし、その金額及び刑期の範囲内で被告人会社を罰金八〇〇万円に、被告人を懲役八月にそれぞれ処することとし、情状により被告人に対し同法二五情一項を適用してこの裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 中野保昭)

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